最新の活動内容

環境分野打合せ会

2008年05月30日

(1) (株)川本
当社は、水処理施設の設計・施工・メンテナンスを一貫したシステムで提供している。
中国での仕事は、公共事業へのアドバイスがほとんどである。
自治体間で姉妹縁組をしている場合は、日本の自治体から民間企業へ、国際貢献活動につながるような情報を提供してほしい。
現地では自分のメッセージをはっきり打ち出していくことにより、現地の信用を得、それが国際貢献活動につながっていくと考える。
中国とのかかわりは20年以上に及ぶが、現地の人々の、きれいな水を手に入れたいという要望がかなうよう、援助を行った。
当社は「安全な水・おいしい水・合う水」をテーマに多様なニーズに応えることのできる専門性を有している。国際貢献活動を行う団体は、支援成果が現地の人々の幸福につながるよう、専門性を有する企業や団体と事前に協議されることを提案する。また、そのようなシステムが構築されることを希望する。


(2) 高梁ロータリークラブ
カンボジア王国タケオ州で、10年以上にわたり、教育支援等を行っている。カンボジア里親会と連携し、岡山県国際貢献活動推進事業補助金を利用して、きれいな飲料水を提供できる水ろ過装置を設置した。




コッカンチャップ村の水ろ過装置
― 建設とその成果 -


Ⅰ.カンボジア支援の概要

  1. 1998年「圓山小学校」建設
    第8代会長の圓山興一氏が私費で建てた小学校(プノンペンの南約60㎞)
    高梁ロータリークラブは、1998年より支援を開始し、圓山氏の死後(1999年6月)、この小学校の維持管理を含め周辺地域に対する教育支援を本格化する。
     
  2. 子供たちへの教育支援 里子里親制度
    経済的理由で小学校へ行けない子供たちへの奨学金制度として、「カンボジア里親会」を組織する。
    教科書、学用品、本、パソコン、コピー機などの教育資材を贈る。
    2002年、国際ロータリー第2690地区世界社会奉仕事業(5カ年計画)として、「水ろ過装置の建設」、「高梁サマメトレー小学校建設」、「プレイロベア高校図書館建設」、「日本語教室の開講」、「地域医療診療所の建設」の5つの支援事業を開始する。
     
  3. 健康管理への支援
    村の衛生状態は良好ではなく、子供たちや村人たちの健康管理としてのプライマリーケア診療所の建設が待ち望まれていた。
    また、安全な飲料水の確保に対しても強い支援要請があった。


Ⅱ.「安全な水」 水ろ過装置の建設

  1. 村の飲料水事情
    雨季(6~10月)には、自宅前の水瓶にたまった雨水を、乾季(11~5月)には池の水を飲用として利用している。
     


    コッカンチャップ村の飲料用の池

     


    雨水を貯める水瓶



    使われていない井戸
    (NGOによる寄付、水質が悪く飲料に適さない)

     
     
     
  2. コッカンチャップ村(圓山小学校区域)へ水ろ過装置の建設
    資材等も含め現地でもメンテナンスが可能な、比較的簡単な構造をもったものとして、小石・砂を層状に重ねて水をろ過する『砂ろ過装置(好気性ろ床法による緩速ろ過法)』を建設する。
    取水用の池の水は濁っているため、池の堤に草を植え、水棲植物を植えることを勧めたところ、効果があった。
     
    ろ過装置の規模は、村人2000人が1人10Lを飲料に使うとして計算を進めた。ろ過水槽は12mX4.4mX2.5mで、これを沈殿槽・ろ過槽・浄水貯水槽に分けた。RI2690地区の03?04年度WCS(世界社会奉仕)事業として建設を04年7月から開始した。予算は、ろ過水槽建設費と管理維持のための村内吸水管敷設費を合わせて約100万円である。工事は順調に進み、04年10月でほぼ終了した。
     
    また、改良を加え第一槽にエアーレーションで空気を混入させ、ろ過装置の運転は、1日あたり8~10時間(11月~5月の乾季の間)とし、雨季の期間にもろ過機能を維持するため、定期的に運転をしている。
     


     
  3. 水管理組合の結成
    ろ過水槽の完成後、管理維持を村人が行うために、水管理組合が作られ、村内給水管を使って水の配給を受ける家庭から毎月2000リエル(約50円)を集めこれを維持費に充てた。ろ過水槽までポリタンクを自分で持ってきて給水を受ける家庭は無料とした。これによって、村人全員がきれいな水を使うことが可能になった。
    問題点として、池からの取水と配水にガソリンポンプで水を送っているため、ガソリン代が高騰している現在、維持管理が厳しくなっている。(日本と同じ価格)
     
  4. 水浄化事業の効果
    ■生徒たちの健康
    現地の先生の聞き取り調査結果として、濾過された水を飲料水として使うようになってから圓山小学校の生徒の頭痛と発熱を訴える数が激減したと報告を受けている。何よりも村の人々が喜んでいる。
    生徒も含め、村全体の健康管理支援としての安全で安価な長期的に使える水の供給という試みは、有効に働いていると考えている。
    建設後4年を経過しているが、水の状況は良好であり、最近の報告では、生徒や村人の健康状態の改善のみならず、村の家畜の病気が減ったとのこと。



Ⅲ.高梁サマメトレー小学校地域への水ろ過装置設置事業

この小学校はコッカンチャップ村の隣村にあり、ろ過装置建設に当たっては村人たちの強い要請があった。

  1. 概要
    • 村の人口は約2000人、村人1人が1日10?を使うとして1日に20立方メートルをろ過する。
    • ろ過水槽は12m×4m×2.5m。
    • 村内数箇所(配水ステーション)へ水を配給する水道管の埋設。
    • 費用は2万ドルを予定(前回より増加しているのは、資材高騰の結果)
    • 工事期間:約5ヶ月(2008年3月竣工)

  2. 岡山県国際貢献活動推進事業の認定と建設資金
    • 岡山県国際貢献活動推進事業補助金の利用。
    • 高梁ロータリークラブ創立35周年記念事業。
    • カンボジア里親会の協力事業。

  3. 水ろ過装置の建設
    前回と同様に、『砂ろ過装置(好気性ろ床法による緩速ろ過法)』とする。今回新たに加えた機能は、取水直後にエアーレーションを入れ、荒ろ過槽を付け加えている(ラウンジングフィルター)。また村に配置された取水ステーションに配水するため、タワーの上に10tのタンクを設置し、配水管へと送っている。



水源となる池

 


完成したろ過装置



Ⅳ.まとめ

  1. コッカンチャップ村のろ過装置の現状
    • 水管理組合により、維持管理はなされている。
      施設のみの支援にとどまらず、クメール語に翻訳された管理マニュアルを作成し、現地の人によるメンテナンスを行っている。
      村人の手による維持管理体制は、施設そのものを村の財産として大切に扱うようになった。
    • 建設後4年、ろ過水の水質が心配されるため砂の入れ替えを考えている。
      通常の砂の入れ替えは、10年位となっているが、原水が濁っているため、予定より早くなりそうである。
    • ■維持管理費の問題点
      原油の高騰で、ガソリンが値上がりし、この状態が続くと維持管理が難しくなる。一戸当たり毎月2000リエル(約50円)の維持費の値上げも検討課題となる。

  2. 新たに建設したろ過装置の今後について
    • コッカンチャップ村と同様に「水管理組合」を結成する。ろ過装置並びに村に配置された約70か所の給水ステーションの維持管理を行う。
    • 村の人々は、安全な水の使用が健康管理に重要な役割を果たしていることを認識し、積極的に利用している。
    • この村においても、子供たちの教育支援とともに健康管理に対する支援としての安全な水の提供は、村全体の生活環境を改善する大きな成果を上げることができた。

  3. 事業実施中に発生した問題とそれに対する対応について
    ろ過装置の稼動費用(ガソリン代など)や給水配管等の装置全体の定期的なメンテナンスが必要となり、村人の代表数名で水管理組合を組織した。この運営費用は、水を利用した村人の負担とした。

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